体位性頻脈症候群について、啓蒙活動をされているwebsiteをこちらで紹介しようと思っています。 その前に、そのwebsiteで興味深い論文を見つけたので、先にご紹介します。 The face of postural tachycardia syndrome – insights from a large cross-sectional online community-based surveyは、2019年に発行されたアンケート結果の論文です。それは、ネット上で行われたアンケート結果であり、POTSの現時点での概要を知るのに良いと思い、私が要約・翻訳しました。 <概要>
2019年に発行されたアンケート結果の論文 サンプル数は、4835例(医師からの診断が出たものに限る。アンケートの回収は9555例) 人口の割合は、白人:93%, 女性:94%、半数は14歳までに症状の発症が見られている。 特筆すべきは、POTSの診断が下るまでの時間が長いことで、中央値24ヶ月となっている。 多くの患者が経験する症状としては、目眩、ふらつき、頻脈、集中力の低下とあるが、非常に幅広い症状が出るのが特徴である。 対象地域は、82%がアメリカ、他、イギリス、カナダなど。 83%の患者は、POTS以外の病気の診断もされている。 偏頭痛40%、過敏性腸症候群(IBS)30%, エーラス・ダンロス症候群25%, 慢性疲労症候群21%, 喘息20%, 線維筋痛症20% などなど多くの治療法が確立されていない、また、原因などが不明の病気の併発が見られる。 <発症年齢ときっかけ> 発症年齢は20±12歳で、最多が14歳、中央値が17歳となっている。 41%のケースで、何らかのきっかけの3ヶ月以内にPOTSの発症が見られる。 きっかけの内訳は、感染症41%, 手術12%, 妊娠9%, 予防接種6%, 事故6%, 初潮5%, 脳震盪4%, 心因性ストレス3%となっている。 59%は具体的なきっかけがない。 <症状> 心臓器循環器系:ふらつき99%, 頻脈97%, 目眩94%, 息切88%, 動悸87%, 胸の痛み79%, 低血圧71%,失神36% 消化器官系:吐き気90%, 胃痛83%, 膨満感79%, 便秘71%, 下痢69% 神経科系:頭痛94%, 集中力低下94%, 記憶障害87%, 震え78%, 視界のぼやけ75%, 口の渇き66%, ドライアイ60%, 筋肉痛84%, 手足の冷え84-82%, 筋力低下83%, 手足の感覚異常76-58% 皮膚:赤み69% 泌尿器系:頻尿68% <症状の経過> これらの症状について、42%の患者が少しでも改善に向かい、10%が変わらないと答えている。44%が悪化したと答えている。そして今回回答した63%が何らかのPOTS関連の症状がずっとあると答えている。 少しでも改善に向かったとした42%の患者(1702人)のうち薬以外の方法での改善は52%(876人)で、29%の人(490人)は、薬による改善があったと報告している。 <精神疾患について> 77%の人たちが、POTSの診断が降りる前に、何らかの精神疾患を指摘されたが、POTSの診断のあとは37%の人までにその割合は下がったとされている。 一般のグループと比較しても、精神疾患の割合は同じとされる論文もあるが、POTSの患者の方がうつ病・不安症が多く出るとする論文もあり、その点はよくわかっていない。 <最後に私から> この論文は、カナダの循環器系の若い医師が中心とななって進められたようです。アンケートの集め方に原因があるのか、実際にそうなのか解らない問題点(白人の割合が多い)などはありますが、現在研究が進んでいない分野ですので、こういった大規模なアンケートによって現状を掴もうとすることは、評価されると思います。 ここに書いてあることが全て正解というわけでなく、現在得られる情報として位置付けていただければと思います。 あなたのコメントは承認後に投稿されます。
返信を残す |
Hiromi's カイロ福岡県福岡市中央区天神2-3-10
天神パインクレスト703号 営業時間:9a.m. - 5p.m. 不定休 ご予約電話: 080-3979-1518 |
© Hiromi's Chiropractic, 2016.
|