![]() レスキューハグ、1995年アメリカのとある雑誌に掲載された写真を見たことがありますか? 双子のブリエルとカーリーはそれぞれ約900gで12週早く生まれました。カーリーの成長は安定していましたが、ブリエルは状態が良くなく、彼女らの父親は医師から2−3日後にはかなり厳しい状態になるかもしれないと、宣告されました。 ブリエルを担当していた看護師は、なんとか助けたいと、当時のアメリカではまだ例が無くヨーロッパでは行われていたカンガルーケアを使えないか、健康なカーリーをブリエルの保育器に入れることを提案、実行しました。 そして、ブリエルの横にカーリーを寝せると、カーリーはその小さな腕をブリエルの首に回しました。すると、ブリエルの血中酸素飽和度はみるみる間に改善をしていったそうです。 2013年にCNNが続報を伝えたとき、二人は17歳になっていて、いまだに世間から注目を浴びることにうんざりしている様子でした。 日本での双子の確率は1.86%(H21)です。しかし、本来のカンガルーケアは新生児とその保護者が行う肌と肌の触れ合いです。 カンガルーケアの歴史は今から約35年前にコロンビアのNICU(新生児集中治療室)で未熟児の死亡率とコストを抑えるために始まりました。未熟児の母親たちは一日24時間赤ちゃんを上向で直接肌が触れる状態で世話をする方法を病院で学び、それが習得できたら次々と退院させられました。その結果、未熟児の死亡率は下がり、母の母性を強く引き出すものとなりました。 カンガルーケアの利点は? カンガルーケアをすることで、赤ちゃんの心拍・呼吸・体温が一定になることが確認されています。さらに、覚醒時間やREM睡眠の減少が認められます。つまり、睡眠の質がいいということです。 カンガルーケアを受けている赤ちゃんは、起きている間は、しっかり反応を示し、ぐずりが少ないという研究結果も出ています。 また、長期での効果も期待されています。ケアを受けた未熟児達(胎児25-35週)の追跡調査によると、生後6ヶ月と12ヶ月の時点でカンガルーケアを受けなかった未熟児達と比べて、心理の成長(Mental Developmental Index)と神経運動(Psychtomotor Development Index)の2点で優っていました。また、長時間、母乳を飲むことができ、量もその分多く飲むことがわかっています。その上、良い腸内細菌が腸内に宿ることもわかっています。 なぜ、カンガルーケアがいいのか? 未熟児は胎児として成長する過程が途切れ、出産時点で期待される神経系の発達に至っていないと考えられています。Skin to skin- 直接の素肌の触れ合いは、親の心音、呼吸リズム、人肌による温かさ等が優しい刺激として赤ちゃんに伝わり、赤ちゃんが安全に下向きで寝ることもできます。神経系の発達を促すだけでなく、親子の結びつき、情緒の安定に繋がっていくと考えられています。 カンガルーケアは未熟児だけのものではありません。 母子ともに元気に出産・誕生を終えて、母乳やミルクを与えた後など、Skin to skinで、できるだけ赤ちゃんを抱いてあげてください。それが、成長への一番の近道なのかもしれません。もちろん、パパが行っても大丈夫です。 このリンクは、オーストラリア政府が出しているカンガルーケアのガイドラインです。このガイドラインに則って、病院でのケアが行われています。写真だけでも見てください。実際の様子がわかりやすいと思います。 厚生労働省HPより
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai09/kekka2.html https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/syussyo2.html Ann L.Jefferier, and et. al., Paediatr child health, 2012 Mar; 17(3): 141–143. Kangaroo care for the preterm infant and family, Seen on 11th 5, 2021, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3287094/ コメントの受け付けは終了しました。
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